黒い影を直視できない。赤くしっかりした紙の表紙、掌サイズのメモ帳のようなもの。黄味がかった上質な紙が綴じてある。わたしのものではない。目が覚めると変な平屋に布団でねていた。少し離れたところに櫻井君に似た人が同じような布団で、まだ眠っている。夜明けだ。そっと平屋をでて走る。ぶらりと手を垂らしたフォームで風を切って走ると不思議に気持が良い。マンションの立ち並ぶ通りを行く。登校時間か。見た顔の人がたくさん歩いている。ローソンの裏にAが立っている。彼女を待っているのだ。わたしはそこを通れない。引き返し、一度振り返り、やっぱり引き返した。いつも肩をキュッとしている背の低い女の子。英語が堪能らしく、友達に日本外人と呼ばれている。メモ帳のようなものは彼女のものだった。赤い表紙を開くとメモ用紙は無くなっていて、英語の教科書の補注になっている。序文いわく、ここから何かを吸収したらメモを書き残しなさい。序文の終わりに「茨城・カイセイ高対策」とある。中学生の教材だったのか。
はてな夢日記